この記事は12記事目になります! 日々の現場と打ち合わせ、図面制作などの合間に記事を書いており今のところ1週間に1記事のペースとなっています。記事の内容も専門知識に偏って、ご覧になられる先生方に伝わらないと意味がないと思ってはいるのですが・・・不明点があればお問い合わせhttps://ikea-dekiru-dental.com/otoiawase/に書き込みをお願いいたします!
これまでIKEAキッチンや歯科医院での導入のあれこれを書いてきましたが、今回は「家具図面」についてお話ししたいと思います。私はもともと建築工事のいろいろなカテゴリー中で「現場監理」「施工監理」を得意としてきました、いわゆる「現場監督」という仕事です。そして、いろいろな業種のいろいろな現場監督をしているうちに設計事務所やデザイン事務所の先生方と打ち合わせをしながら設計やデザインの仕事を学びました。もしも私が学校で習ったデザインや設計の知識だけで今の仕事をしていたら、工事のことはあまり分からないまま図面と向き合っていたと思います。私がこの業界に就職した頃からの最初の10年は現場と図面を7:3の割合で現場寄りに修行ができたと思っています。そして見積や業者さんとの値引き交渉も現場監督の仕事であったため、その当時図面を書いていなかった時間を、現場監理に費やせた事が今はとても役に立っていると思います。
これまでIKEAキッチンをお勧めしてきたのも、分離発注という変化球をお勧めしているのも、どうやったら合理的で適正なコストの歯科医院ができるのだろうか?と考えほかの設計事務所との差別化や選んでもらうための創意と工夫の一旦となっています。そして同じデザインの繰り返しではなく、その都度先生とお話しをして、先生方の理想やイメージを考え、先生の服装や生活、趣味や車など観察しながら「この先生ならこんなのが好きでは?」と考えつつプレゼンを作ります。なので医院のデザインに一貫性はなく同じ意匠にはならないのです。私たちは芸術家ではありません。デザインの仕事はお客様が求めるリクエストに総合的に答える事です。なので美しいだけで使いにくいものはいいデザインとは言えないと私は思っています。
いいデザインと機能性や合理性をバランスよくミックスする。そこにIKEAキッチンがうまくハマると思います。さてここからは家具図面についてです!!
今回の家具図面については、実はとても重要なものになります。歯科医院をいいデザインにするのは「家具図面」次第ともいえます。そこで、もしも建築図面がお手元にある場合は歯科医院の設計図に占める各図面の割合を調べてみてください。家具図面は建築検査や確認申請、消防検査などには必要ありません。なので建築の設計事務所から提出された図書1式には、ざっくりとした内容の家具図面のみが含まれているのではないでしょうか?設計事務所にしてみれば家具図面を細かく書くことは、以後の施工責任にもつながるため最低限の枚数と内容で予算を取り、全体の内容把握ができる程度にさらっと掲載されている場合が多いと思います。もしくはほとんど無いか・・・。
なので工事がすすむにつれて、歯科医院らしくするために家具の使い勝手や運営イメージを先生やスタッフさんと、打ち合わせを密に行う必要があります。そして医療機器の配置も家具図面の中に書き込む必要があり、医療機器の配置に合わせてコンセントやLAN、給水、排水、エアー、バキュームなど歯科医院ならではの設備レイアウトを総合的に確認する図面が必要になります。建築図面にある「電気設備配線図」や「弱電配置図」「給排水設備図」「医療機器配管図」といった平面図の内容をより細かい位置や寸法を指示するための図面、それが家具図面となります。
このあたりの話を歯科ディーラーや医療メーカーに丸投げしてしまう設計事務所もあります。
「あとは先生とメーカーさん、家具業者でまとめてください。図面は施工図にして提出してください」といった感じです。
設計事務所としてもあまり細かい話に付き合っていては、経費がかかり利益が減ってしまうので、できればディーラーやメーカーに丸投げしたいはず。家具の色や配置などは全体の意匠や通路幅などに影響するので確認はしますが、それ以上は専門家に任せたいと思っています。
そしてIKEAの家具を使いたいと思っている先生が、イケアのビジネスデスクに相談に行きます。その際に設計事務所を同行することがよくありますが、イケアのビジネスデスクから提案される家具図面はあくまでキッチンの仕様であり、イケアの材料を見積するための必要最低限の「部材の組み合わせ図面」になります。それだけでは医療機器の配置やコンセントや給排水の位置がレイアウトできません。
そしてこの段階で「IKEAキッチンを歯科医院で使うのは難しい!!」と、同行した設計事務所は判断します。経験のないものには手を出さない・・・その判断が医院の今後に大きく影響するとはその時点では先生方も気が付かない場合がほとんどです。
そこでLIXILやTOTOなどの衛生機器メーカーのキッチン家具か、または医療メーカーやディーラーから高額の専門家具がお勧めされます。そうすれば設計事務所としては自分で図面を書かなくてもメーカーに書いてもらった図面データを利用できるようになります。
残念ながらイケアからはCADの図面データはもらえません。
そうなるとコストの合理化をどれだけ先生が真剣に考えても、イケアの家具を歯科医院に導入できなくなってしまうのです。このパターンはとても多いです。(IKEAさんからもよく聞きます)
家具図面は「メーカーやディーラーだけの専門図面」というブラックボックスではありません。言い換えると料理のレシピと同じです。「カレーライス」を作る際に、「ニンジン、ジャガイモ、豚肉、玉ねぎ、カレールウ、水など食材」とその「調理方法が載ったノートまたはメモ」が必要ですよね、歯科医院に置き換えると、「カレールウ」は「家具の本体(イケアでもLIXILなど)」「野菜や肉」は「給排水設備」や「電気設備」と同じです。そして「調理方法の載ったノート」が「家具図面」となります。
ここまで読んでいただけたらわかりますよね、家具図面は調理方法の載ったノートと同じです。そのノートがあればだれでも「カレーライス」ができます。
そしてカレーライスといっても、いろいろバリエーションがありますよね。歯科医院も同じです、先生やスタッフさんとの打ち合わせで「オリジナルカレー」が出来上がります。
たかが家具図面と思うかもしれません、でも「オリジナルカレーのレシピ」はその医院だけのものです。ほかの医院の図面をコピー&ペーストで持っていってもそのままでは使えません、医院見学を頻繁にされている先生方はよくお分かりですよね。スパイスのバランスは医院が100あれば100通りです、収納が多めとか作業スペースはチェア増設後を見越して広めとか・・・。
そして記事に何度も書いていますが、「歯科医院のハードを人任せにしない」そのために分離発注のノウハウやIKEAキッチンの導入という手段があります。そして家具工事という予算の大きな部分をブラックボックスにしないために、先生方がその気になれば「オリジナルのスパイス」は手に入ります。たとえば家具図面だけでもオーダーも可能です!
IKEAと連動した提案を私たちは普段からやっています、「家具図面」の提案の仕方や相談がありましたらいつでもお問い合わせください。
誰に何を言われても最後まであきらめない!その気持ちが不可能を可能にします!!
特に建築は可能性の塊です!!ルールは変えていくものです、理想の歯科医院はその先にあります!
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