新築?改装?スタッフさんを巻き込めば医院は完成度96%確定!!

歯科医院で使うには

今回は医院の改装工事や新築工事に、スタッフさんを巻き込む必要性について書きたいと思います。

歯科医院の現場を考えるとき、先生方のやりたいことをしっかりとスタッフさんに伝えるにはどうすればいいのか?

それはスタッフさんを打ち合わせに巻き込むことです!

これまでいろいろな歯科医院さんで、スタッフさんとの打ち合わせをさせていただきました。その際に私自身が教えてもらてきたことが、ほんとうに沢山あり・・・というかほとんど情報は医院のスタッフさんからおしえてもらったもばかりです。

きっと他の設計さんとの打ち合わせでは、先生と医療機器メーカーや歯科ディーラーの意見を取り入れ、図面を完成させるのが一般的だと思います。

ですが私が携わってきた歯科医院さんでは割と早い段階から、スタッフさんを巻き込んだ打ち合わせををしています。

仕上げ前の現場

先生方がすべてを決め、それに従ってスタッフさんが問題なく使ってくれればいいのですが・・・でも歯科医院の場合、先生方が動く導線とスタッフさんが動く導線は全く違います。

先生方は仕事内容は理解されているとは思いますが、でもその手順や使い方にはその医院のスタッフさんの個性が影響します

スタッフさんは先生方が必要とする治療の道具を用意、、そして使い終わった道具を滅菌消毒し片付けて収納スペースに戻します。患者さんから保健証を受け取り、カルテを用意し先生が治療する場所まで案内しお連れします。治療が終わるとカルテを受け取り、会計処理を行い次の予約をとります。

先生は治療が終わるとカルテに治療内容を打ち込み次の患者さんを待ちます。患者さんは待合室で会計を待ちお金を払い、次回の予約が済むと元来た入り口を出ていきます。その時に患者さんを見送るのは先生ではなくスタッフさんです。トイレットペーパーがなくなると補充し、足りなくなった治療の材料をチェックし、終わったカルテを元あった場所に戻すのもスタッフさんです。歯科医院での仕事は治療をする先生と、その前後の細かなたくさんの作業をこなすスタッフさんとの連携で成り立っています。

上記のことからも歯科医院を正しく設計したいのであれば、スタッフさんの意見や希望は不可欠だという事がわかります。

私が今までお世話になった歯科医院では、平面レイアウトがおおよそ決まった段階からスタッフさんが打ち合わせに参加することが多いです。

医院の運営方針や事業内容は経営者である先生方にしか決められません。ですがそこから先の運営に関しては実際にそこで働くスタッフさんにも意見を聞くのがいろいろな意味で近道になります。新規開業でスタッフさんがまだ決まっていない場合や、親子継承でそれまでの医院のやり方を変えるために新しいスタッフさんを採用する場合もあるかと思います。そんな時でも、または工事がある程度進んでいたとして、やはり少しでも早くスタッフさんに打ち合わせへの参加してもらうことをお勧めします。

墨出し前の現場

打ち合わせがすすみ工事が着工すると、現場でチェアの位置決めのためにメーカーと先生やスタッフさんに来てもらうことが歯科医院では通例になっています。その際に現場監督さんに頼んで決まっている平面図に合わせて現場の床に家具の位置や通路の位置の墨だし(建築用語で床に線を引いてもらう事をいいます)をしてもらいましょう。そこに先生方はもちろん、スタッフさんにも来てもらい実際に動くことをイメージして導線確認をしもらうのです。

まだ工事真っただ中の建築現場にスタッフさんにきてもらい、図面では感じられない建物の空間を感じてもらうのはとても重要なことです。

私がレストランウェディングのお店を設計していたころ、会場の見学にみえたカップルさんにヘルメットを着けてもらい会場案内を何度もしました。「ここがチャペルでここがレストランで、ここから入場します」と説明していくとお客様方のイメージが膨らみ成約率が上がるのです。CGやパースがどれほど立派でも現場に勝るリアリティはありません。医院でも同じではないでしょうか?自分たちがこれから働く新しい環境に、期待と不安でいっぱいなのは先生方だけではありません。医院に愛着を持って働いてもらうことが何よりも重要です。メーカーのアドバイスや設計士の提案も大事ですが、実際に現場を使うのはメーカーでも設計士でもありません。先生と一緒に医院の計画を手伝い、図面では表現できない細かな部にまで自分たちの意見が反映されている医院なら長く働くことができると思いませんか?

医院とそこに働く人たちの一体感が医院の空気感を作ります!

そして医院の主役は患者さんです。

どれだけ内装のデザインが立派でも、その空間に入った時、居心地のよさや安心感がなければ、「これから長くお世話になる自分の歯科医院」として選んでもらえません

レストランの設計をしているときシェフに言われたのは、料理を運んでくるスタッフやサービスをするスタッフがきれいに見えるような厨房の入り口位置とか、厨房のガチャガチャした部分と、料理を盛り付ける仕上げの部分をお客さんにどうやって見せるかを考えて設計しないとだめだという事でした。かっこいい設計だけならある程度は誰でもできますが、使い勝手のよさと洗練された空間は時に反比例します。設計士にしてみれば完璧に何にもない空間が、理想の空間なのでしょうがスタッフさんはそうは思っていません。

できるだけ近くにできるだけ少ないアクションで作業がしたい!!

なので設計士だけでは無理という事です。結局医院が完成しても、スタッフさんが材料を収納する際に物が入らない、入れる場所がない、ほしいところに物が置けないといった事になります。その時にはもう設計士はいません。先生の理想とスタッフさんの理想のギャップがお互いのストレスを生みます。真剣に仕事がしたいスタッフさんほどそのストレスは大きくなるのは必然です。そのストレスを抱えたスタッフさんが患者さんに最高のサービスを提供できるでしょうか?

なので歯科医院の設計にスタッフさん参加はマストだと思います!

仕上げ前の現場

働く意識を高めていくために、医院の計画に参加してもらう事ほど大かがりで派手なパフォーマンスはありません。そして先生とスタッフさんとの信頼関係を作るのに、こんなに有効的な研修はないとは思います。コンサルタントの先生の社員教育とはまるで違い、医院建築への参加には費用は掛かりません。

スタッフさんならコスパ最強の設計アドバイスを出してくれます!

何より自分たちで決めたことなら、後からこうじゃないとかこれでは使えないなどのクレームもありません。むしろもっとこうしたいとか、このやり方ができたら次はこんな機器を買ってほしいなど次々に新しい構想が出てきます。そこに「自分の医院」という愛着が生まれます。

そして何度もいいますが、私が今までお勧めしてきたIKEAキッチンは医療専用家具ではありません。でもスタッフさんのほとんどは女性です、女性が使いやすい収納家具が歯科医院の収納家具として最適だと思いませんか?IKEAキッチンは世界中で使われている収納家具です、特に水まわりに特化した作業用の家具なのです。女性ばかりではありませんがやはりキッチンは女性にとって大切な日常の場なのです。そこで使われている収納家具なら、自分たちがすべき作業に置き換えて想像することも可能だと思います。

自分の家のキッチンを作るつもりで打ち合わせに参加してもらえばいいいのではないでしょうか。

ちなみに先生方が自分の住む家を作るとき、キッチンは奥様にお任せしていますよね?料理が趣味の先生だとしても、やはり奥様の意見を無視してはキッチンは作れません。どうでしょうか?完全オーダー家具の収納じゃなくても、スタッフさんを巻き込めばキッチン家具でコストパフォーマンスの優れた歯科医院の収納家具が出来上がることが理解いただけましたか?

これまで打ち合わせしてきた歯科医院さんでは、工事にかかる1年以上前から打ち合わせにスタッフさんが参加することもよくあります。場合によっては衛生士さん、受付やアシスタントさん、クリーンスタッフさん、技工士さんなど各セクションごとに時間を決めて打ち合わせをしていきます。工事の途中で何度も変更を繰り返し現場が出来上がるころには、当初の打ち合わせとはまるで違う形になったりもします。でもそれが本当のノークレームの現場なのです。

完成したものが正解なのです

図面はただの道しるべでしかありません、目的地に近づければあとは現場での調整でゴールにたどり着けます。図面通りに作る必要なんてありません、実際に使うスタッフさんが打ち合わせの場にいてくれさえすれば予算調整のロスも最小限で済みます。図面通りを喜ぶのは設計士だけです、ちなみに医院が開業したらほとんど来なくなるのは設計士と工務店です。

なのに医院の計画にスタッフさんを巻き込まないんですか?

組み立て前のIKEAキッチン

仮に医院の開業前にスタッフさんに協力してもらうことで人件費が発生したとしても、後から建築工事の内容を変えて追加費用を請求されるよりは相当お安く済みます。

建築会社のスタッフに払う人件費より、自分の信頼するスタッフさんに払う人件費のほうがよほど安くてスタッフさんも喜びますよね。

また別の機会にスタッフさんとの打ち合わせについても詳しく書きたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました