今回は歯科医院でIKEAキッチンを利用する場合に必要なことを二つ解説します
注 このブログに書く内容はやや専門的な話になっています、でもこれは歯科医院にとって利用価値の高い内容になります。すぐに理解できないかもしれませんが、一歩だけ踏み込んでみてください。専門業者に任せるだけでは理想の歯科医院に近づけないのはなぜか?答えは一つではない、その一つの答えがこのブログにあるはずです。
A 歯科医院の場合、IKEAキッチンのほぼ70%は現場ではなく別の場所で組み立てをするのが効率的です。
B 家具工事は建築工事からは離して「分離発注」がおすすめです。
70%組み立てが済んでいる状態で現場搬入することで現場での作業スペースが確保しやすくなり、現場で壁や床に固定する職人の手間を抑えることができます。また現場内で他の工事業者とも共同で作業することになるため、70%程度の組み立てができている家具なら、電気工事や設備工事の業者が家具の裏側や内側にアクセスがしやすく、家具のダメージを最低限で家具工事とほかの業者の工事を同時進行で進めることができます。工期短縮も経費削減に大きな影響を与えます。
どこの建築も同じですが現場は総合作業場です。家具工事以外にも給排水設備やエアーバキューム配管の設備工事、コンセントやLAN配線の電気工事、空調工事やガラス工事、タイル工事などのほかにも各業種ごとに職人が変わり自分の作業が終了するごとに入れ替わりに次工程の業者が入り作業をしていきます。
工事の引き渡しまでに何百人という職人さんが携わり、先生たちが現場の鍵をもらい医療機器などを搬入する頃にはきれいにクリーニングがされた新品の建物となっています。工事の期間が長くなるという事は、例えば現場の工事保険費用が高くなったり現場監督の管理費が高くなったり、借りている駐車場の賃料や、現場トイレの使用費用、工務店の管理費など細かな経費に影響を与えます。
家具工事は最終の仕上げとなります、ただし家具を取り付けしないと終わらない工事業者も必ずあります、なので現場での作業工程をより短くするために70%程度まで組み立てしてある家具を現場に搬入することを私たちはお勧めしています。
そして現場のためだけではなく、家具工事の組み立て費用にも大きく影響を与えます。
イケアから現場直送をした場合、ほかの業者でごった返している現場内に大量の段ボール箱が何百点も届きます、大きさもバラバラで一つの箱で30キロ近くあるものもあれば小さな部品の入った段ボールなどが現場内に山のように積み上げられます。そこから各部屋に必要な部材を必要な数だけ探して運び込んで組み立てをします。
時には2枚セットの棚板を別の部屋と分けて使うようにイケアからの見積に指示がされていたりします。それを管理するのは至難の業です、というか無理だと私は思います。40坪から50坪の歯科医院の場合、イケアの家具の物量は3トン前後になります。商品数は600点前後、4トントラック2車分の荷物です。これだけの商品をサイズごとに振り分けて梱包をばらし、組み立てをするのに狭い現場内では作業は難航します。
私たちもイケアの家具を使い始めたころは全て部材を現場に搬入し、組み立てをしてから取付をしていました。その際に部品の紛失や誤った組み立ての訂正や組みなおし、不足部品の捜索や重複して追加注文してしまう部材のロスに泣かされました。さらに現場内ではほかの職人とのトラブルや、現場の床や壁の傷や損傷が問題となりその補修費用も負担されられました。さらに工期が長くなれば現場内はパニックの様相のまま引き渡しとなります、そして引き渡し後もトラブルが続いた経験があります。
イケアの家具を歯科医院で使うのは不可能とあきらめてしまうのは、このやり方だからだと私は思います。
それでも、フルオーダー家具や代理店からしか買えない高コストのモジュール家具よりはローコストで医院の家具完成させることができました。でも現場内でのトラブルを最小限にしないとせっかくの理想的なIKEAキッチンの持ち味を活かせないと思い、そこから私たちは歯科医院のIKEA家具の導入にもっとも適した工事方法を模索し今のやり方で落ち着きました。
私の考えた理想的なIKEAキッチンの組み立て手順はこんな感じです。
①歯科医院の家具工事は本体工事とは切り離しして「分離発注」で契約をする。(このやり方をするのであれば建築業者が家具工事を進めてしまう前に、イケアの家具を使うという方針を先生に決定してもらう必要があります}
②歯科医院の打ち合わせのスケジュールに合わせて家具を購入し、配送先を現場ではなく別の場所を確保するようにします。(イケアからその場所まではイケアによる配送または、搬送業者をこちらで手配しイケアに引き取りに行き所定の場所まで運ぶ流れとなります)
③家具の組み立て場所は倉庫または車庫、家具工場などがいいと思います。そこで70%程度まで組立てます。組立が現場ではないので職人の人数やスケジュールが確保しやすくなり、組み立て後の商品点検もでき効率的です。また不足部材や職人による部材の切り間違いや破損にも事前に対応できるので経費も最小限となります。
④組み立てた商品をトラックに積み込み、現場に搬入します。組み立て前の膨大な数の梱包は1台ずつのキャビネットとなっているため現場内のどこに配置するかを番号付けしたり、組み立てがしやすいように仕分けが事前にできるので組立効率も上がります。
⑤現場内に入れ込む際も、キャビネットが通れるスペースさえあれば台車で搬入したり窓や出入り口の扉からすべて搬入ができます。搬入前に家具の置き場となる床部分をシートにて保護の養生をすれば作業スペースを確保しながら、他の業者ともトラブルが起きることもなくお互いに工事が順調に進みます。
⑥組み立て工事は現場の引渡し前には90%程度の完成度となります。建築業者の引き渡しが終わり医療機器などのレイアウトが決まったら、天板に配線の穴をあけたり棚をカットしたりしながら調整し、スタッフさんと使い勝手のよいポジションを決めてペーパータオルホルダーやフットスイッチ、グローブホルダーやIPAD用の棚を着ければ100%完成です。
⑦工事が終わり、内覧会が終わり診療がスタートしてしばらくすると考えていた使い勝手とは違ったアイディアが出てきます。その時にこそIKEAキッチンにしてよかったと皆さんは思うはずです。家具の移動はもとより、引き出しの増設や移動ができて棚板や扉の数もレイアウトも、フレキシブルに皆さんでも変更ができるのでアフターフォローの経費も最小限で済みます。
⑧数か月後または1年後に医院の運営が順調にすすめば、チェアの増設や在庫置き場カルテ棚の増設が必要になります。その際もイケアの家具にすでに慣れているスタッフさんや先生たちは私のところに、相談をしてくれます。「ここてだけもっと良くしたいんだけど、部材はどれを買えばいいかな?」
⑧の段階では、さらに踏み込んで「今使っているこの家具をこっちに移動して、代わりにこの家具をこっちに移動したいんだけど手伝ってください」という感じになっていきます。
なので家具工事は建築工事が終わってからも、時々見直しをすることができるので「分離発注」で建築工事とは切り離しておくことがおすすめです。決して建築工事の下に家具工事を入れてはいけません、せっかくイケアの家具は直販なのに建築業者にマージンを取られてしまいます。そのマージン分で組み立て費用が賄われるか、家具の部材代が浮くか・・・浮いた費用はもっと医院にとって有意義なものに使ってください。例えば・・・スタッフさんの誕生日にゴージャスな花束プレゼントができるかも
PS 今回の記事では詳しくは触れませんでしたが、「分離発注」についての詳しいやり方はまた別の記事に書きますのでもう少しお待ちください!
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