IKEAキッチンを歯科医院に落とし込む事の可能性

イケアキッチンを使おう

今回は実際にIKEAキッチンを歯科医院で使う場合の考え方とその可能性について書きたいと思います。

これまで何度も歯科医院で使う家具はIKEAキッチンが向いているという話をしてきました。

通常、設計士が平面図を提案し先生方はその提案に対して、新たな訂正を加えることを繰り返し医院の全体像が決まっていきます。この初期段階のレイアウト計画で設計士の頭の中には、平面図を立体にした空間のイメージが出来上がっているはずです。そして提案がすすめば展開図や内装パースとなり先生にもそのイメージを伝えるべく、なにがしかのビジュアルを見せてもらえるはずです。その中には家具や椅子、照明の効果などが表現されていることでしょう。

すでにそんなプレゼンをもらった先生方は、それをもう一度見直してみましょう。

どうですか?こんな素敵な空間になるのか!と感動されましたか?

ではこの完成予想図のとおりに実際の現場が出来上がったかどうか、すでに工事が済んだ先生方にお聞きします。

完成予想図と実際の現場、比べてみていったい何が違うと思いますか?

プレゼンでは、理想の形を理想の配置で整えたビジュアルを用意します。最近ではCGによる完成予想図を目にします、ですがCGどおりに空間が出来上がるはずはありません。なぜならあれはパソコンの中にある素材を貼り合わせた写真だからです。実際の空間は光の粒子もキラリと光るガラスの輝きも、ガラスに映りこむ景色も違うのは当然です。そして完成予想図は予想とは違うとしてもそれは問題にはなりません。

でも大きく違うとは思いませんか?

何が違うのか?それはCGには無い備品や材料を配置してあるからではないでしょうか?

でもどの写真もどの完成予想図も、実際に開院するとCGとは違う事になります。当然と言えば同然ですが、実際に使うスタッフさんは何も物が置いていないテーブルでは仕事ができません。なので自分たちが使いやすい理想のレイアウトを、何度も繰り返し時間をかけて整えていきます。

そしてたとえば3か月後の写真を撮ってみたとしたら?

工事前の完成予想図とはまるでビジュアルが違う事になっていませんか?

こうなるのは同然です、図面を書く設計士は備品や消耗品の配置を完成予想図には入れません。

では今の話を逆から考えたとしましょう。備品や消耗品までレイアウトを決めてレイアウト図や完成予想図を考えたとしたら・・・それができる設計士もまたこの世の中にはいないと思います。

設計士は衛生士ではないからです。

では完成前と完成後のギャップはどうすることもできないのでしょうか?

私がIKEAキッチンをお勧めしているのはこのことからでもあります。オーダー家具で整えた歯科医院の空間に、オーダー家具はまらない形や大きさの備品が、持ち込まれ配置されます。

そしてスタッフさんたちは与えられた空間を、ある時はもてあましある時は収まりきらず不足を訴えます。

でもその時「そのサイズのものは入りませんねぇ」と設計士は言います。

そしてスタッフさんたちはあきらめて、写真や完成予想図にはないレイアウトに備品を配置し始めます。やがて「あきらめ」を体現化したレイアウトが出来上がります。

結局、どんなに立派な設計をしたとしてもスタッフさんの使い勝手にはかなわないという事になります。ましてやオーダー家具では太刀打ちできないのは当然です。

だからIKEAキッチンがいいと、モジュール家具が最適だと私は思います。

IKEAキッチンでは幅は40センチ(一部30センチ)60センチ80センチの4種類の幅しかありません。そして高さは引き出しの場合、10センチ20センチ40センチの3種類だけですすべての棚板は5センチのピッチで上下に移動が可能です扉は高さが40センチ60センチ80センチ140センチ200センチの5種類があります奥行は37.5センチ、41.5センチ、65センチの3種類があります。これらのアイテムを幅、高さ、奥行、使い勝手のバリエーションで組み合わせると無限にパターンができます。そのパターンが最初に決めたものと違ったとしても、同じ高さ、幅、奥行きの組み合わせによって各アイテムはドライバー1本で自由に移動が可能で、足りなければいつでも買足せます。

歯科医院を使い勝手までしっかりと考えるのであれば、建物の「設計士」と「使い勝手を必要とする家具」を、別々でかんがえたほうがいいのではないでしょうか。治療のチェアを設計士が選べないのと同じで、医院の使い勝手を左右する家具などは別で考えるのが理想ではないでしょうか?

レストランなどでは厨房器具のレイアウトは、キッチンのプロであるシェフが決めます

設計士は厨房レイアウトの図面を書かないのです。レストランでは設計士は厨房レイアウトを見ながらデザインをします、どこからお客様は入り、サービスのスタッフが動き回り、冷めないように料理を出して、皿を引き上げて洗い場に運ぶか。収容人数やサービスマンの人数、スタッフの数も含めて事業計画は、厨房の大きさやレイアウトが空間デザインを大きく変えます。

ただ歯科医院の場合、消毒室や医局からレイアウトを決めるのは無理かもしれません。でもレイアウトと並行して使い勝手の導線を考え、打合せする必要があるのは同じではないでしょうか?

そうはいっても現在、常識となっている設計の仕方はレストランのそれとは100%違います。

なのでせめてスタッフさんたちの使い勝手が、設計士がいないくなった状態からでも改造や変更ができるようにIKEAキッチンをお勧めしているというわけです。

医院のことを考える良心的な設計士ならば、自我をこえてフレキシブルに医院にとっての最善をお勧めするのが、理想の設計士だと思いますがいかがでしょうか?

厨房レイアウトを決めるのがシェフであるように、歯科医院のレイアウトを決めるのはドクターである先生とスタッフさんであると思います。

レストランの厨房もオーダー家具ではなく、既製品の組み合わせでレイアウトされています。

IKEAキッチンはまさしくキッチンレイアウトのためのモジュール家具です。

これらか開院や改装をお考えの先生方は、設計士とIKEAキッチンの2本立てで、歯科医院の計画をしてみてはどうでしょうか?

これもまた、前にもお話しをした「分離発注」のひとつの形です。

分野別に設計士が二人いてもいいのでは?

もちろん設計費も割合に応じて決めればいい。これなら先生の負担は変わらず、リスク分散が可能です。「得意な分野は得意な人が担う」合理的で私はこの考え方が好きです。この考え方に反対が出るとしたら・・・どこかに自我が働いている・・・と思います。

歯科医院は患者さんやスタッフさんたちのものです、いつまでも働きやすい通いやすい医院であることが先生方の理想になるのではないでしょうか?

可能性のリミッターは設計士でもデザイナーでもなく、先生方の中にあります。

あきらめず半歩さがって見つめてみれば確実に今よりいい結果が出ます!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました