今回はIKEAキッチンの利用の仕方について書きたいと思います。
これまでに何度も書いてきましたが、「IKEAキッチン」とはIKEA家具の中でもキッチンのモジュール家具のことを指しています。そもそもIKEAというインテリアブランドは豊富なラインナップと、デザイン性の高さを持ち、低価格でも満足度の高い商品を提供している北欧テイストの総合ショップです。
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IKEAのホームページから「商品一覧」のページ開くとこれだけのカテゴリーがあるのが分かります。
- 収納家具・収納グッズ
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- ガーデンファニチャー・屋外家具
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- カーテン・クッション・寝具など
- 調理器具・食器など
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- 家電・電化製品
- ラグ・ラグカーペット
- DIYグッズ
- 洗面所収納・洗面台・バスタオルなど
- ガーデニング用品・雑貨
- 照明
- ペット用品
- 食料品・フードメニュー
- 衣類
このなかでIKEAキッチンは「システムキッチン・キッチン収納」に属しています。
歯科医院で利用しようと考えた場合、IKEAのHPからキッチン家具を探して、購入までもっていくのは至難の業です。いや無理だと思います。
そもそもキッチン家具はほかの本棚やベッドのようにそれだけを単体で利用することはできないような部材の組み合わせてで成り立っています。
なので買い方としては
店舗を訪れ窓口で相談しながら部材のサイズや色、大きさなどをカスタマイズし、部材の集積から一台の家具として成立するように組み合わせることでシステムキッチンとして完成するようにできています。
なので歯科医院で使おうと意気込んだとしても、そのまますんなりと購入できるようなシロモノではありません。
この「買いにくさ」と「無限にできる組み合わせパターン」が、IKEAキッチンを歯科医院の家具として利用する場合の大きな足かせともなっています。
でもそれを克服すれば歯科医院で利用するのにこれほど適した既製家具は日本には無いと思います!
また過去の記事でも購入の仕方について書いたものがありますのでそちらも参考にしてください。
投稿を編集 “IKEAキッチンのオーダーの仕方” ‹ — WordPress (ikea-dekiru-dental.com)
なので今回は購入の仕方については触れません。
今回は加工の仕方について書きたいと思います。
IKEAキッチンの家具の部材は、おおまかには本体のフレームとフレームに取り付けする棚板や扉、引き出しといったアイテム、そして天板の3つの部材から成り立っています。
家具の本体となるフレーム部分は、天板を乗せるベースキャビネットと吊戸棚として利用するウォールキャビネット、背の高い収納フレームであるハイキャビネットの3種類から成り立っています。
歯科医院でよくつかわれるフレームのサイズを表にするとこんな感じです。
歯科医院でよくつかわれるフレームをまとめた上の表で分かることは、基本となるフレームは幅40センチ、幅60センチ、幅80センチの3種類が奥行、高さのバリエーションが多いことが分かります。30センチや15センチはバリエーションが少なく、隙間にはまればラッキーくらいにお考え下さい。
IKEAキッチンのフレームの素材は「パーチクルボード」という木材チップを加熱し圧縮して出来た板でできています。
このパーチクルボードは、加工がしやすくどこにでもネジがとめられます。なので高さや幅など加工すれば規格サイズとは違うフレームサイズを制作することができます。またデメリットとしては木材よりも重く、水や湿気に弱いなどがあります。例えばIKEAキッチンのハイキャビネットの幅60高さ200奥行60の重さは50.2Kgもあり女性一人分の体重に匹敵します。当然簡単には運べません。男性でも一人で運ぶのであれば根性と筋肉が必要です。
ちなみに歯科医院でカルテ棚代わりによく使われるハイキャビネットの幅80センチ奥行41.5センチ高さ200センチのものは35.5kgもあります。
この重量もイケアの家具を利用する際の大きな障害となります。ただし他のメーカーの既製家具があまりにも軽かったりする場合、その耐久性にはかなり問題がある場合が多いです。歯科医院のように一般住宅よりも過酷に利用する環境では、その家具の重さもまた耐久性と比例している気がします。IKEAキッチンの耐久性は25年と恐ろしいくらい永いです。重量のある皿やナベを乗せるための強度が、IKEAの他の家具とはまるで違う耐久性として保障されています。
さてここまでは大まかにIKEAキッチンの特徴を述べてきました、ではここからは加工について描いていきます。
歯科医院で使う場合、このIKEAキッチンのフレームがそのまま使える場合と、どうしても加工しなければならない場合が出てきます。さきほども書いたように材料はパーティクルボードです、パーティクルボードはパネルのどの部分もカットしても空洞だったりはしません。いわゆる無垢というやつです。フレームパネルをカットして縮めることで、完成形の寸法を任意の大きさに変えることができます。例えば高さを加工する場合はフレームの左右のパネルの高さをカットして縮めることで完成形の高さを任意の寸法に変えることができます。
ただし、ここで加工をして利用する際に知っておかなければならないことは、高さは加工してもオプションが使えますが、幅を加工してしまうとオプションが使えなくなるという事です。
私たちもよほどの場合以外は幅を加工することはありません。なぜならIKEAキッチンの汎用性がなくなってしまうからです。
幅はモジュール家具の命ともいえます
既製品家具の最大のメリットは同じ幅の棚板ならば、どこへ移動してもそのまま利用できることにあります。たとえば高さを加工して変えたとしても、幅さえ同じならばIKEAキッチンのオプションはそのまま使えるものがたくさんあります。でも幅を加工して変えた場合は、その豊富なオプションとそのバリエーションの恩恵を受けられなくなります。
これでは既製品を多用する意味がありません。
私が設計している歯科医院では、規格サイズの家具を並べて割り切れず幅が入らない場合は、その部分に家具は入れません。
そこにはごみ箱スペースや、椅子を入れるスペースや、オートクレーブが入ります。なのでIKEAキッチンですべてを完成するのではなく、IKEAキッチンをベースとして利用し、IKEA以外のものが入ることで一つの家具として完成できるのです。
たとえば2.9メートルの滅菌消毒の家具を考えた場合
ごみ箱(任意の幅)だとして→流し台(幅80センチ)→引き出しギャビネット(幅40センチ)→引き出しキャビネット(幅60センチ)→オートクレープ(幅50センチ)の順番に並べると想定します
流し台80センチ+引き出しキャビネット40センチ+引き出しキャビネット60センチ+オートクレーブ50センチ=230センチとなり290センチ幅の残りの寸法は60センチなので、そこには分別ごみ箱を2個置けるということになります。人工大理石なら天板は290センチを1枚板でオーダーできますから、天板の下のキャビネットは80センチと40センチと60センチを各1台づづ買えばいいという事になります。オートクレーブはメンテナンスができるようにホームセンターなどでキャスター付きのワイヤーシェルフのワゴンの上に置けばいいのです、そうすれば無駄な収納スペースがない合理的で低コストの滅菌消毒家具が完成します。
今回書いている加工については、ある意味難易度の高い使い方になります。つまりどうしても加工しないと入らないものがある場合や、加工することで使い勝手が良くなるようにしたい場合にのみ行います。
また高さを加工する場合、フレームの左右内側にある棚板のダボなどを差す穴のピッチを考えておけば、引き出しや扉のオプションが加工後も使えます。
IKEAキッチンのフレームでは、穴のピッチは5センチです。なので高さを加工する場合は5センチ、10センチ、15センチ、20センチといった具合に5センチの倍数で縮めればいろいろなオプションがそのまま使えるという事になります。
なのでキャビネットの高さを加工したい場合は、加工して縮める家具よりも大きめフレームを購入し、縮めて理想の高さにすることになります。
また加工する場合は、手ノコギリなどでなく定規のついた電動丸ノコでできるだけ真っすぐにカットしてください。正しいグリットになっていないとオプションの引き出しなどが使えない場合があります。できれば先生が自らカットするよりも大工さんにお願いしたほうがコストも耐久性も優れたものになるはずです。
また、いったん加工してしまうとIKEAの25年保証は受けられず返品、交換もできなくなるのでご注意ください。
幅は家具を買わないことで調整ができます。また高さの加工はできますが、色々なバリエーションがあるのでよくパターンを考えてから加工してください。
組み合わせ出来るパターンは無限にあります。
という事は歯科医院での利用の可能性も無限にあるという事です。
目的とコストがリンクする家具を考えるなら、IKEAキッチンを利用するのが最適だと思います。
次の機会に、上の写真のような高さの加工をした組み合わせバリエーションの施工事例について書きたいと思います。
これらを理解すれば歯科医院で使う家具でIKEAキッチンが最強なのがもっとわかるはずです!!
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